これまで高速増殖炉もんじゅの運用を担当してきた日本原研開発機構には安全運転を行う能力がないとして、昨年11月、原子力規制委は文科省に「別の運転管理主体を選定するように」と勧告しました。その新規主体選定の目途としていた半年が経過しましたが、まだその具体案は決まっていません。しかしその一方で、政府はもんじゅの存続を堅持するということです。
この高速増殖炉は本来はとっくに完成していなければならないのですが、完成予定は延びに延びて目下は2030年頃という見通しだということです。しかしこれまでの経過からみて実際に達成出来るのかは不明です。
使用済み核燃料の再処理には採算性は全くありません。もんじゅは、プルトニウムを効率的に消費するというものでもありません。何故有害無益なこの装置に早く見切りをつけないのでしょうか。
もんじゅは、元々若狭湾沿岸という地盤の不安定なところに立地していて、発火性の液体ナトリウムを熱伝達媒体に用いるという極めて危険な装置です。何らの合理的な説明もないままにいち早く存続だけを決めるというのは、やはり、どんなに危険を冒しても核兵器を作るために高純度のプルトニウムを得たいからなのでしょうか。
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政府、もんじゅ存続表明へ 機構に代わる受け皿探しは難航
産経新聞 2016年5月15日
原子力規制委員会が廃炉も含めた運転主体の見直しを勧告していた高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県)について、政府が存続の方針を表明することが14日、分かった。文部科学省の有識者検討会が月内にも報告書をまとめた後になる見込み。規制委が文科相に対し勧告の回答期限のめどとしていた「半年」はすでに過ぎているが、いまだ現在の日本原子力研究開発機構に代わる受け皿の具体案は出ておらず、実際の存続は不透明な状況にある。
もんじゅをめぐっては、規制委が昨年11月13日、原子力機構について「運転を安全に行う資質がない」と断定。機構に代わる運転主体を具体的に特定し、新たな受け皿が見つからない場合はもんじゅの抜本的な見直しをするよう、機構を主管する馳浩文科相に勧告した。その回答期限を「半年をめど」にしている。
もんじゅはナトリウムを冷却材に使う特殊な炉で、受け皿探しは難航。文科省は受け皿を議論する検討会(座長、有馬朗人元文相)を発足させ、4月末までに計7回の会合を開いた。検討会では「新主体が備えるべき要件」や「理想的な体制」の議論にとどまり、具体名を取り上げるには至っていない。
一方、政府はもんじゅの存続を堅持する方針を固めている。政府関係者によると、平成26年4月に決定したエネルギー基本計画で、もんじゅを「国際的な研究拠点」と位置付け、「国の責任の下」で維持することを決めたためという。
また、使い道のないプルトニウムが約48トンあり、国際社会から疑念を示されているため、高速増殖炉で消費することも重要視されている。政府がもんじゅ存続を表明することで廃炉への懸念を払拭するという。
ただ、規制委の動向は不明だ。規制委は文科相の回答を受けた後、代わりの運転主体が示された場合、安全性の観点で信頼に足る組織かどうか検討に入る。規制委の田中俊一委員長は「看板の掛け替えを許容するつもりはない」と話し、厳格に審査する方針だ。