毎日新聞 2016年5月9日
四国電力 巨額の安全対策費が予想、採算性ないと判断
四国電力は、来年9月に運転開始から40年になる伊方原発1号機(愛媛県伊方町)を10日付で廃炉とした。申請すれば20年の運転延長も可能だったが、巨額の安全対策費が予想され、採算性がないと判断した。運転期間を原則40年とするルールでの廃炉は6基目となる。
1号機は出力56万6000キロワットの加圧水型軽水炉で、1977年9月に運転開始。東京電力福島第1原発事故後の2011年9月から運転を停止していた。運転延長には、新規制基準をクリアするための電源ケーブルの難燃化などで約1700億円が必要。収支改善効果は約1500億円にとどまるため、四電は「投資回収が成り立たない」と判断した。
四電は廃炉工程などを定めた廃止措置計画の策定を本格化させる。愛媛県や伊方町と締結している安全協定に基づき、協議をしながら廃炉に向けた手続きも進める方針だ。廃炉に着手するには、原子力規制委員会が廃止措置計画を認可する必要がある。
09年に運転を終了した中部電力浜岡1、2号機(静岡県)では既に廃炉作業が進んでいるほか、日本原子力発電敦賀1号機(福井県)▽関西電力美浜1、2号機(同)−−などで廃止措置計画が審査中。各社の計画では、廃炉完了には24〜30年かかるとしている。
伊方原発は四電が運転する四国唯一の原発で、3基全てが加圧水型軽水炉で福島第1原発(沸騰水型)とはタイプが異なる。伊方3号機は15年7月に新規制基準に合格。原子力規制委の使用前検査が続いており、四電は7月下旬の再稼働、8月中旬の営業運転開始を目指している。【渕脇直樹、大久保昂】