2016年5月20日金曜日

大飯原発、安全対策完了は来年1月 心配される成り行き

 関電は、大飯原発3、4号機についてこれまでの原子力規制委の審査で指摘された事項を反映させた原子炉設置変更許可の補正書を規制委に提出し安全対策工事の完了来年1月としました。
 安全対策工事はそれぞれが必要なもので、全体として安全な方向に改善されることは分かりますが、肝心な基準地震動が「それ以上の地震が襲わない」というものになっていません(「現有の原子炉及び格納容器の強度に適合する範囲に抑えられている」という疑念が否めません)。
 
 熊本地震が全く予想もしなかった震度で発生した事実に照らしてみても、大飯原発を襲う地震が856ガル以下に収まるという保証は何もありません。最大震度の推定など碌に出来ないのに、低目に、しかも妙に細かい数字まで決めているというところに却って不審さを感じます。 
 実効性のある避難計画の問題も依然として未解決のままです。
 このまま来年の1月に安全対策工事が終了することで、自動的に再起動に入るというのは最も危険な成り行きです。
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大飯原発、安全対策完了は来年1月
関電が3、4号で設置変更許可補正
福井新聞 2016年5月19日
 関西電力は18日、大飯原発3、4号機(福井県おおい町)について、これまでの原子力規制委員会の審査で指摘された事項を反映させた原子炉設置変更許可の補正書を規制委に提出した。補正は2013年7月の申請以来初めて。安全対策工事の完了は来年1月の見通しとしている。工事が完了しない限り、規制委の審査が終了しても再稼働できない。
 
 関電は「規制委の審査は、現在までに大半が完了している」として、補正書を提出した。安全対策費用は申請当時の約108億円から、約1200億円に増加した。
 地震対策では、若狭湾の二つの海底断層が連動する前提だったが、規制委の指摘を受けて陸側の断層も含めた3連動を考慮した。震源の深さも4キロから3キロに修正。基準地震動(耐震設計の目安となる揺れ)の最大加速度を700ガルから856ガルに引き上げ海水ポンプ室とその周辺に津波防護壁を設置するほか、引き波対策として一定の水位を確保するための貯水堰(せき)を設置する。
 高台の淡水タンクから漏れた水が原子炉建屋に影響しないよう、敷地外への排水トンネルを新設。竜巻や格納容器の水素濃度低減対策も盛り込んだ。
 
 関電によると、残る審査は事業者としての組織体制など、技術的能力に関する部分。今回の補正も含め問題ないと判断されれば、規制委は合格証の原案となる「審査書案」を作成する。ただ、安全審査は原子炉設置変更許可のほか、建物や設備の詳細設計を示した工事計画、運転管理体制をまとめた保安規定の認可があり、いずれにも合格する必要がある。
 大飯原発3、4号を巡っては福井地裁が14年、福井県住民らの訴えを認め、運転差し止めの判決を出した。この控訴審をはじめ、4件が係争中となっている。