7日、衆院議員会館で「とめよう!東海第二原発 首都圏連絡会」の記者会見が開かれ
原発専門家・山崎久隆さんは、「東海第二の原子炉設備はひび割れだらけでボロボロになっている」とその危険な実態を詳しく報告しました。
東海第二原発は今年の11月で稼働後40年の期限を迎えますが、それをさらに20年間延長することを目指しています。
どんな金属も極低温下(マイナス数十℃)では靭性を失い脆くなります。その境界温度は脆性遷移温度と呼ばれ、原子炉では本体の劣化を示す指標となります。
原子炉は核分裂時の中性子を浴びて激しく劣化します。その程度を確認するために炉の内壁に金属の試験片を装着してその脆性遷移温度を定期的に測定しています。
九電・玄海原発1号機では、2009年(運転開始34年後)に脆性遷移温度が+93℃にまで急上昇しました。井野博満・東大名誉教授(金属材料学)が緊急冷却時に原子炉が破裂する危険性を指摘した結果、知事や町長が危険性を認識し、紆余曲折を経て2015年に廃炉が決まりました。
こうした材料劣化の事例は他所でも当然起きている筈ですが、その後原発側は「脆性遷移温度」のデータを公表しなくなったため実態は不明です。
現在、老朽原発を補強するからという口実のもとで「20年の運転延長」が平然と行われていますが、その「補強」は防潮堤の新設、配管の補強、自家発電設備の増強などで、一番肝心の原子炉の老化に対するものではありません。原子炉本体(及び原子炉格納容器)の補強は不可能で、本体を交換するしかないため莫大な費用が掛かるからです。経費を節減するためには、安全は二の次というわけです・
老朽原発を再稼働するなんてとんでもないことです。
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老朽原発の再稼働なんてとんでもない!〜「東海第二原発」問題で記者会見
レイバーネット 2018年9月9日
たんぽぽ舎の原発専門家・山崎久隆さんは、「東海第二の原子炉設備はひび割れだらけでボロボロになっている」とその危険な実態を詳しく報告した。9月7日、「とめよう!東海第二原発 首都圏連絡会」の記者会見は東京・衆院議員会館で開かれた。老朽原発のうえに避難計画もずさんで、実態が明らかになるにつれ反対の声が大きく広がり始めている。この日の会見集会にも、地元つくばみらい市をはじめ、千葉・埼玉・東京など関東一円から住民代表が集まり、取り組みをアピールした。
東京にもっとも近い「東海第二原発」は、東日本大震災で外部電源が失われ過酷事故寸前の事態になった。まだその後始末も終わっていない、休止している原発である。しかし、運営主体の「日本原子力発電」は再稼働をめざし、原子力規制委員会に「運転継続」を申請している。今年11月27日が運転から40年目にあたり、本来であれば廃炉になる期限である。しかし、原子力規制委員会は7月にも「設置許可変更を適合」とみなし、着々と「20年延長・再稼働」へ進んでいる。
なぜ日本原電はこれほどまでに再稼働にこだわるのか? 記者は山崎氏に尋ねた。推測と前置きして山崎氏はこう答えた。「日本原電の原発は4基あるが3基は廃炉でいまは1基しか残っていない。これが廃炉になると会社の経営が破綻する。だから止められない。運転継続の形をとれば、安全対策費用の名目で年間約1700億円の金が入ってくる。それを使って原発事業全体の再構築をしようとしているのではないか」と。やはり「東海第二」の再稼働の背景には、巨大な「原子力ムラ」の利権がありそうだ。しかも、その1700億円も周りまわって国民の負担だという。
いま、「首都圏連絡会」は11月廃炉をもとめて運動を強めている。10月20日には「東海第二原発 運転延長STOP!首都圏大集会」を日本教育会館ホールで開き、10月26日の「原子力の日」には日本原電をヒューマンチェーンで包囲する計画だ。また、「ビデオジャーナリストユニオン」が緊急制作したDVD『恐怖のカウントダウン〜東海第二原発を止めたい』(18分)も9月20日には完成し、自主上映運動が始まる。まだまだ知られていない首都圏の原発の再稼働問題。これからが運動の正念場である。(M)