2018年9月29日土曜日

伊方原発 運転差し止め認めず 大分地裁

 四国電力伊方原発3号機について、対岸の大分県の住民が運転差し止めを求めた仮処分申し立てで、大分地裁は28日、差し止めを認めない決定をくだしました。
 
 阿蘇山の噴火リスクへの対策をめぐる評価や原発の耐震性が争点で、決定は火山のリスクについて「原発の運用期間中に阿蘇山の破局的噴火が生じることが差し迫っているとは言えない」3号機のリスクは「社会通念上無視しうる程度まで管理されているとして否定しました。
 また基準地震動が650ガルと過小評価されていると訴えには、「四国電の想定に不合理な点はない」として退けました。
 
 住民側の河合弘之弁護団長は「極めて無反省な内容。『社会通念』で逃げるなら法律など要らなくなる」と批判しました
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伊方原発、差し止め認めず 大分地裁  
日経新聞 2018/9/28
四国電力伊方原子力発電所3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めを求め、豊後水道を挟んで対岸の大分県の住民らが申し立てた仮処分申請で、大分地裁は28日、申し立てを退ける決定をした。「阿蘇山の巨大噴火は差し迫っていない」と判断した。住民側は即時抗告する。
 
今月25日の広島高裁に続いて再稼働を認める判断で、運転再開に向けた動きが加速する。四国電は10月27日に再稼働させる方針を表明している。
過去に大規模噴火を繰り返してきた阿蘇山の噴火リスクをどう評価するかなどが争点だった。
大分地裁の佐藤重憲裁判長は決定理由で「現在の阿蘇はマグマだまりの状況やカルデラ噴火の前兆現象がないこと、地殻変動からみたマグマの蓄積状況などから、原発の運用期間中に巨大噴火が差し迫っているとはいえない」と指摘。
新規制基準などにも「不合理な点はない」として、3号機のリスクは「社会通念上無視しうる程度まで管理されている」と判断。住民の生命や身体に対する具体的危険はないと結論付けた。
住民側の河合弘之弁護団長は「極めて無反省な内容。『社会通念』で逃げるなら法律など要らなくなる」と批判。申立人の一人、中山田さつきさん(64)は「裁判所には福島の原発事故をきちんと受け止めてほしい」と話した。
四国電力は「当社の主張が認められたもので妥当な決定」などとするコメントを出した。
 
伊方3号機を巡っては、広島高裁が2017年12月に「火砕流が敷地に到達する可能性が小さいとは言えない」と判断、今年9月末まで運転を差し止めるよう命じた。
これに対し四国電が申し立てた異議審では、同高裁の別の裁判長が今月25日、噴火リスクは低いとした四国電の主張を認めて再稼働を容認。四国電は10月27日に再稼働させる方針を発表していた。
 
 
伊方原発、差し止め認めず 新基準「合理的」 住民の仮処分申請却下・大分地裁
時事通信 2018年9月28日
 四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の安全性に問題があるとして、住民が運転差し止めを求めた仮処分申請で、大分地裁(佐藤重憲裁判長)は28日、「原発の新規制基準には合理性が認められる」として、申し立てを却下した。住民側は決定を不服として、福岡高裁に即時抗告する方針。
 広島高裁が25日、運転差し止めを命じた仮処分決定を取り消しており、四国電は10月27日に3号機を再稼働する予定だ。
 耐震設計の目安になる地震の揺れ(基準地震動)や、阿蘇カルデラ(熊本県)の巨大噴火の可能性が主な争点だった。
 佐藤裁判長は決定で、新規制基準は最新の知見に基づき、地震予知に限界があることを踏まえて策定されており、合理的だと指摘。3号機を審査した原子力規制委員会の委員に強震動の専門家はいなかったものの、「看過し難い誤りはない」と判断した。
 
 住民側は、南海トラフ地震の想定震源域に立地するにもかかわらず、基準地震動が過小評価されていると訴えた。同裁判長は「四国電の想定に不合理な点はない」として退けた。
 伊方原発から約130キロ離れた阿蘇カルデラについては、マグマの蓄積状況などから、巨大噴火の前兆はないと認定。「同原発の運用期間中に差し迫った危険性はない」と結論付けた。
 愛媛県・佐田岬半島の付け根に位置する伊方原発は、豊後水道を挟んで大分市から約50キロの距離にあり、大分県の住民が2016年、仮処分を申し立てた。