2018年9月21日金曜日

厳冬期に節電、停電、それでも泊原発は必要ない(猪野亨氏)

 札幌在住の猪野亨弁護士のブログです。
 猪野氏は、北海道大地震に伴って大停電が起きると一部で「泊原発を動かさなかったからこんなことになった」という声が上がったことに対して、9日にまず第一弾としてそうした考えを否定するブログ
を発表しました。すると「お前は透析患者の前でも同じことが言えるのか」という反論があったので、翌日に
というブログを出し見事に反論しました。
 
 ここに紹介するブログ「厳冬期に節電、停電、それでも泊原発は必要ない」は、いわばその総集編です。
 猪野氏は「安易な原発推進の主張に惑わされないように気をつけましょう」と述べていますお互いに気をつけましょう。
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厳冬期に節電、停電、それでも泊原発は必要ない  
弁護士 猪野 亨のブログ 2018年9月19日
 ようやく厚真の火力発電も復旧のめどがたち、電力の安定供給に近づいてきました。
 思いの外、復旧が早かったようにも思いますが、火力発電所の耐震は震度5だったということは衝撃的でした。震度7の地震が起きることは当然に予想される範囲です。原発については当然、震度7は前提とされているのでしょうが、この火力発電の耐震構造は軽視でしょうか。
 
 今回、全道でブラックアウトが起きましたが、政治の側で泊原発を稼働させるべきだとか、稼働していたら良かったのにという声が出ていないのはある意味では、当然のことだと思います。この時機に泊原発だなんて言っているようではセンスは最悪です。
 一部のネトウヨ層やビジネス思考しか持たない人たちから、原発の再稼働が声高に叫ばれていますが、非常識そのものです。
 政権側は、こうした声が大きくなり、給電に不安を持つ層に原発やむなしという雰囲気が醸成されることに期待しているのかもしれませんが。
 いずれにせよ、透析患者の例を持ち出すなどというのは、すり替えも甚だしく、あまりに非常識なのですが、他方で北海道の厳冬期で節電などできるのか、特に北海道は夏場よりも冬場の方が電力需要が高いではないかという主張については、もしかすると、なるほど大変だ、泊原発を早急に動かした方がいいのではと思ってしまった人たちもいるかもしれません。
 凍死したらどうするんだということなのですね。
 灯油やガスであろうと今のストーブは電気がないと動かないものばかりなので、そうした不安にとりつかれてしまうことも考えられます。
 
 とはいえ、この「凍死」も脅しの一種にすぎず、現状においてそのようなことを心配する必要はありません。
 厳冬期に停電になったらどうするんだという議論も、だから原発というありふれたすり替えのためのものです。
 今回の地震が厳冬期に起きた場合、数日、寒い部屋で過ごさなければならなかったかもしれませんが、すり替えの構造は同じことで、単に一極集中をさせていたことの問題を抜きにして原発だと言っているだけなのですから、意味がありませんし、原発は事故を起こさないということを大前提にしてしまっている点で、議論としての価値はないのです。
 ところでこういった意味でも今後もますます節電は重要になってきます。余計な電力は使わないことです。
 そうするとまた北電が電気料金を値上げするのではないかという問題もあります。値上げが問題だというのであれば北電は潰れてしまう、どうするんだという批判もありますが、大した問題ではありません。
 まず北電は、巨額のお金を垂れ流しただけになった原発政策の誤りを認め、それを公式に謝罪することです。原発にカネを流してはいけません。
 また原発政策の誤りの責任を関係者に取らせることももとちろんですが、それだけでは大した財源もできません。
 そのため、北電としては、以上のように原発政策の誤りを認めた上で、道民のみなさんには、電力発電という基盤を確保するための費用として、これだけの費用が掛かる、ひいては応分の負担をお願いしたい、とすべきものです。
 またこれは国策による原発政策の破綻が招いたものなのですから、原発を推進してきた国、財界に応分の負担をさせるよう北電としても要求していくことです。
 そうであれば、北電の経営を守るため、道民も応分の負担(電気料金の値上げ)には快く応じてくれるでしょう。
 安易な原発推進の主張に惑わされないように気をつけましょう。