東電の旧経営陣3人が業務上過失致死傷罪で強制起訴された裁判で、東京地裁は、10月16日の第30回公判から5回にわたり被告人質問を行う方針を決めました。
これまでの公判で、社員らが大津波の危険性や具体的な対策例を経営層まで伝えていたと証言し、「大津波は予測も対策も不可能だった」とする3人の主張とは大きな隔たりがあります。
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東電強制起訴、16日から「被告人質問」 津波対策の先送り焦点
福島民友 2018年09月29日
東京電力福島第1原発事故を巡り、東電の旧経営陣3人が業務上過失致死傷罪で強制起訴された裁判で、東京地裁(永渕健一裁判長)は28日までに、10月16日の第30回公判から同31日の第34回公判にかけて被告人質問を行う方針を決めた。
これまでの公判では、複数の証人が被告の一人の武藤栄元副社長(68)が社内方針を撤回し、第1原発の津波対策を先送りしたと証言。武藤副社長だけで撤回できたのか、勝俣恒久元会長(78)、武黒一郎元副社長(72)の両被告に判断を仰いだのかなど、方針転換の詳細な経緯が焦点になりそうだ。
争点の柱は〈1〉3人が大津波を予測できたのか〈2〉対策を取れば事故を防げたのか―など。これまでの公判で示された証拠や証言によると、東電は2008(平成20)年3月、勝俣元会長や清水正孝元社長(74)が出席した常務会で、第1原発での津波対策の実施を正式決定した。しかし、対処すべき津波高が当初に想定した7.7メートル程度から15.7メートルに跳ね上がり、対策費が数百億円に上ることが分かると、武藤元副社長が経営状態を優先し、約4カ月後に方針を撤回したとされる。
3人は昨年6月30日の初公判で、「大津波は予測も対策も不可能だった」と全面的に無罪を主張。公判では、社員らが大津波の危険性や具体的な対策例を経営層まで伝えていたと証言し、3人の主張とは大きな隔たりがある。3人の証言が注目される。関係者によると、被告人質問は武藤元副社長、武黒元副社長、勝俣元会長の順に実施される予定だという。