2018年9月8日土曜日

北海道地震は東日本大震災の「動き残り」

 日本商工会議所の三村明夫会頭は7日、北海道地震で起きた大規模停電に関し、「ベースロード電源としての原発の重要性が再認識された」として、原発の再稼働を促進すべきであるという認識を示しました。停電時の苦痛を理由に原発の有用性を強調するのはいわば原発推進派の常套手段で、福島原発事故時にも東電管内では数次にわたる計画停電が実施され、住民は随分不便な思いをさせられました。
 
 阪神淡路大地震でも今回の北海道胆振大地震でも、実際に起きて見て初めてそこが活断層であったと分かったということで、現在知られている2000余の活断層はまだまだその一部に過ぎません。つまり現在立地している原発が活断層の上ではないという保障は誰にも出来ないということです。そんなに危険な原発を稼働させようというのはあり得ないことです。
 
 そもそも震源地近くの苫東厚真火力がダウンしたのに連動して、すべての発電所がダウンしてブラックアウトを生じさせたのはそれぞれの発電設備を守るためで、連動して停止することを避ける工夫は全くされてなかったためです。
 電力業界は早急に対策を講じるべきでしょう。
 
 今回の地震で生じた加速度は1504ガルだったということです。阪神淡路大地震では818ガルでした。そうであれば原発の耐震性を決める基準地震動を1000ガル以下にすることはあり得ませんが、現実には、一部の例外を除いてほとんどが数百ガル程度で規制基準を満足しています。その理由は明らかで、それ以上の値に設定すると既設の原発を動かせなくなるからです。
 
 今回は地震の規模を示すマグニチュードが低かったので、今後本震が来るともいわれています。今回の地震は東日本大震災で動いたプレートの北端側で起きた「動き残り」の地震と言われ、プレート付近の茨城や千葉でも同程度の地震が近いうちに起きる可能性があるということです。
 地震はこれで終わりで、原発の再稼働に向かおうというのは余りにも実態から遊離した発想です
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北海道震度6強  加速度1504ガル 防災科研が再発表
毎日新聞 2018年9月6日
 北海道で最大震度6強を観測した地震で、防災科学技術研究所(茨城県)は6日、安平(あびら)町に設置した観測点で、極めて強い揺れを示す1504ガルの加速度を記録したとウェブサイトで公表した。 
 
 防災科研はいったん、別の観測点で1796ガルを観測したと公表したが、その後「地震との関係を改めて確認したい」として取り下げた。観測点の状況を調査して、機器が正しくデータを観測できていたかを検証する。 
 1504ガルは、防災科研が全国に展開する観測網「KiK-NET」のデータで、東西方向のほか、南北、上下の揺れを組み合わせた数値。地震が発生した午前3時8分ごろに記録した。 
 
 加速度が800ガル以上で、かつ地面が動く速度が毎秒100センチ以上になると、建物に大きな被害を及ぼすとされている。今回の地震では、地面が動いた速度は分かっていないという。 
 1995年の阪神大震災では神戸海洋気象台(当時)で891ガル、2016年4月の熊本地震では、2回目の震度7で益城(ましき)町の揺れが地下の観測で1362ガルとなり、大きな被害が出た。今年6月の大阪府北部の地震では、高槻市で806ガルを記録している。(共同) 
 
 
北海道地震は東日本大震災の「動き残り」
専門家が警鐘「次は千葉、茨城など太平洋側の地域は要注意」
夕刊フジ 2018年9月7日
 北海道胆振(いぶり)地方を6日に襲った最大震度7の大地震は連鎖するのか。専門家は、今回の地震は2011年の東日本大震災の一連の流れに属するもので、震災で動いたプレート(岩板)北側の「動き残り」の部分だと指摘、「近いうちにプレート南側に当たる千葉県や茨城県付近でも、同様の大地震が起きる恐れがある」と警鐘を鳴らす。
 
 11年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)は、海側の太平洋プレートが、東北地方を載せた北アメリカプレートの下に潜り込むことによって起こる海溝型地震とされる。
 今回の北海道の地震が、東日本大震災の一連の流れに属すると強調するのは立命館大環太平洋文明研究センターの高橋学教授だ。
 「東北地方太平洋沖地震で動いたプレートの北の端にある『動き残り』『割れ残り』が動いた可能性がある。太平洋プレートが北アメリカプレートを押している状態が続いている」
 高橋氏によると、東日本大震災で動いたプレートの北端は北海道の襟裳岬から函館市周辺の地域で、南端は千葉県の犬吠埼周辺に当たるという。
 「プレートの南側は動いていないので、今回と同様の地震が茨城や千葉でも近いうちに起きる可能性がある。その場合、同規模の地震でも、人口密度が高い首都圏では相当な被害が出る」と高橋氏。
 
 北海道での震度7は、震度階級が改定された1996年以降初めて。国内で震度7以上の地震は2016年の熊本地震以来となるが、地震の規模はマグニチュード(M)6・7だった。高橋氏は「M7・5クラスであれば、ある程度エネルギーが出た感じがするが、M6・7ではその30分の1ぐらい。まだエネルギーがたまっているのではないか」とする。今回の地震に「熊本地震のように、本震はこれから来るかもしれない」と警告する。
 もう一つ、高橋氏が次の大地震が起きやすいと指摘するのが、東北太平洋沖地震の震源の東側に当たる場所だ。
 陸側の北アメリカプレートの下に海側の太平洋プレートが潜り込む海溝の外側で発生する地震は「アウターライズ型」と呼ばれ、大震災の影響で発生リスクが高まるとされる。揺れは小さくても海底の変動が大きいため津波が巨大化しやすい特徴もある。前出の高橋氏は「太平洋プレートが潜り込んでいるところより東側の細長い区域で発生する可能性がある」と説明する。
 
 過去にも大地震が連鎖した例がある。1896年に推定M8・2の明治三陸地震が起き、37年後の1933年には推定M8・1の昭和三陸地震が発生。約30メートルの津波が発生し、約3000人が犠牲となった。昭和三陸地震は、「アウターライズ型」に属するとされる。
 高橋氏は「(37年という感覚は)極めて長い例で、極端にいえば8~9年が頃合いだ」と力説する。東日本大震災から8~9年というと2019年から20年となる。
 「ここ2、3年は特に注意が必要だ。本格的に続きの地震が起こることが予想される。大地震は対岸の火事ではなく、今日の自分、明日の自分という意識を持つことが重要だ」と喝破した。
 備えても備えすぎることはない。