「原発のコスト」の権威である大島堅一・龍谷大教授が8日、佐賀市で行われた「原発の運営費用や電力自由化を考える学習会」で講演し、福島原発事故の廃炉や損害賠償にかかる費用がすでに23兆円余に達し、「国の財政収入が50兆円の半分にもなる」ことを明らかにしました。
また電力会社が、太陽光発電の電力を送電線に受け入れる余裕がないとしていることについては、原発用に確保してる分を回せば十分に可能であるとし、再生エネの不安定性についてもドイツの例を挙げて否定しました。
追記) これとは別に送電線の余裕の有無について、京都大学が欧州や北米で推奨されている「実潮流ベース」で東北電力の幹線14本について利用率を解析したところ、電力会社が全ての幹線で空容量ゼロとしているのに対して、実際には各幹線毎に約80%~98%の空容量があることが分かりました。
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大島龍谷大教授「原発は再生エネの妨げ」 費用や運用解説
佐賀新聞 2017年12月12日
原子力発電の運営費用や電力自由化を考える学習会が8日、佐賀市の自治労会館であった。龍谷大政策学部教授で、著書「原発のコスト」で知られる大島堅一氏が講演し、「原発延命策が再生可能エネルギーの利用を大きく妨げている」と指摘した。
大島教授は、福島原発事故の廃炉や損害賠償にかかる費用が、政府の示す21兆5千億円では収まらず、すでに23兆4236億円に上る試算を紹介した。「国の財政収入が50兆円程度なので、その半分にもなる」と事故が起きれば経済負担が膨大になると訴えた。
太陽光発電などの再生エネの普及促進に待ったをかけている接続可能量に触れ、「原子力用に確保されている送電網の枠があるが、優先順位を変えれば再生エネが地域外にも送れ、より経済的になる」と技術上の問題ではなく、運用上のルールの問題だと断言した。再生エネの不安定性についてもドイツの例を挙げて否定した。
学習会はグリーンコープ生協さがが主催し、約60人が聴いた。同組合は4月から電気小売り事業を始め、原発以外の電力を供給している。