新規制基準が「13万~12万年前以降に動いた断層」と狭義に定義している活断層が、原子炉建屋など重要施設の下にあれば再稼働できないし、直下でなくても敷地内にあれば、基準地震動の見直しを迫られます。
原子力規制委は8日の審査会合で、北電・泊原発の敷地内で見つかっている断層が活断層ではないと判断するにはデータが不十分だとして、「火山灰のデータを充実して活断層ではない根拠を明らかにすべきだ」と注文をつけました。
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泊原発、地震想定引き上げ検討 規制委 再稼働見通せず
日経新聞 2017年12月8日
原子力規制委員会は北海道電力泊原子力発電所(北海道泊村)1~3号機の再稼働に向けた審査に関し、これまで了承していた地震の揺れの想定の引き上げを求める検討を始めた。北海道電側が原発敷地内に活断層がない証拠とした火山灰の層のデータが不足しているため。想定を見直せば、泊原発の再稼働時期は見通せなくなる。
2013年に施行した新規制基準では、12万~13万年前以降にずれた可能性が否定できない断層を「活断層」と定義した。直下に活断層があると明らかになれば原発の運転は認められない。直下でなくても敷地内にあれば高い耐震性などが求められる。データ不足の場合は40万年前まで遡って調べるよう求めている。
北海道電は規制委に対し、泊原発の建設時の調査で敷地内の断層が約20万年前の火山灰の層に達しておらず活断層はないと報告し、規制委も認めた。泊3号機の地震の最大の揺れ(基準地震動)についても15年12月におおむね了承した。
ただ規制委の要請を受け、今春から実施している調査で6カ所を掘削したものの、明確な火山灰の層が確認できなかった。調査結果は18年1月末までにまとめる予定だが、証拠を示せる見通しは立っていない。
8日の審査会合でも、規制委の担当者が「火山灰のデータを充実して(活断層ではない)根拠を明らかにすべきだ」と注文をつけた。北海道電側は火山灰以外の地層でも活断層ではない証拠を示す方針を明らかにした。
北海道電は13年7月に泊原発の再稼働を申請した。新規制基準に対応する安全対策費は合計で「2000億円台半ば」(真弓明彦社長)に達する見通しだ。直近の年間純利益(87億円)の20年分以上にあたる。地震の想定が引き上げられれば、安全対策費をさらに投じる必要が出てくる。