伊方原発3号機について広島高等裁判所は13日、運転停止の仮処分(停止期限は2018年9月30日まで)を命じました。期限を設けたのは、高裁の決定は「仮処分」に関するもので、現在並行して審理されている広島地裁での「運転差し止め本訴訟」で異なる判断(判決)をする可能性があることを考慮したものです。
広島高裁の決定に対して四国電力は即時に異議申し立てをしたので、それを受けて同高裁の別の裁判長が新たに判断する見通しです。その異議申し立ての審理で別の判断が下されれば、そちらが優先されるので、火山噴火のリスクを含め、原発に求められる安全性をどのように判断するか注目されます。
伊方原発の仮処分の申し立ては高松高裁や大分地裁、山口地裁岩国支部の3か所でも行われていて、火山噴火のリスクなどが争点となっています。
NHKが3号機の運転停止に関する司法の動きをまとめました。
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伊方原発3号機の安全性 高裁で改めて判断へ
NHK NEWS WEB 2017年12月14日
愛媛県にある伊方原子力発電所3号機について、広島高等裁判所は13日、巨大噴火の危険性を指摘し、運転の停止を命じました。今後は四国電力の異議申し立てを受けて高裁の別の裁判長が判断する見通しで、火山噴火のリスクを含め、原発に求められる安全性をどのように判断するか注目されます。
愛媛県にある四国電力の伊方原発3号機について、広島高等裁判所は13日、運転停止を命じる仮処分の決定をしました。高裁が原発の運転停止を命じるのは初めてで、運転停止の期間は来年9月30日までとしています。
決定では、「熊本県の阿蘇山の地下にはマグマだまりが存在し、巨大噴火が起きて原発に影響を及ぼす可能性が小さいとはいえない」と指摘しました。
これについて火山噴火予知連の前の会長で東京大学の藤井敏嗣名誉教授は、「今回の判断は、これまで社会が向き合ってこなかった巨大噴火にどう対応するのかという大きな問題を突きつけたと言える」と指摘しています。
四国電力は決定の取り消しを求めて異議を申し立てる方針で、今後は広島高裁の別の裁判長が改めて判断することになります。
また、伊方原発の仮処分の申し立ては高松高裁や大分地裁、山口地裁岩国支部の3か所でも行われ、火山噴火のリスクなどが争点となっています。今後の仮処分の手続きで各地の裁判所が火山噴火のリスクを含め、原発に求められる安全性をどのように判断するか注目されます。
世耕経産相「政府方針は不変」
世耕経済産業大臣は13日、訪問先のアルゼンチンの首都ブエノスアイレスで記者団に対して「国が当事者の裁判ではないので、基本的にコメントを控えたい」としたうえで、「原発については原子力規制委員会が世界的にもっとも厳しいと言われている新規制基準をクリアしていると判断したものに関しては安全最優先で、再稼働させていくという政府の方針には変わりはない」と述べました。