2017年12月23日土曜日

吉野復興相が自主避難者に「自立したらどうか」と暴言

 吉野復興相が、住宅支援を打ち切られた自主避難者たちに面と向かって「事故から7年も経ったのだから、そろそろ自立したらどうかね」と言ったということです。
 今年3月末で住宅支援を打ち切られた自主避難者たちが国の支援を求めて大臣室を訪れた時にです。避難者たちは何かに寄生しているとでも言うのでしょうか。

 国は今でも、空間線量が年間5ミリシーベルトを超える区域を「放射線管理区域」として、放射線についての知識を持つ成人しか立ち入りが許されず、そこでの飲食や寝泊りも禁じられています。
 ところが国は、原発事故で汚染された地域でも空間線量が年間20ミリシーベルト以下であれば支障なく生活できるとして、そこに居住すべきであるとしています。
 そして、そんな所に住める筈がないからと避難した人たちを、「自主避難者」と呼んで事ごとに差別してきました。
 田中前原子力規制委員長に至っては「勝手に逃げ出した人たちだから援助は不要」とまで公言しました。

 何年経とうが、空間線量が年間1ミリシーベルト以下という「原状」に復帰しなければ元の所に戻ることはできません。
事故から7年も経ったのに」まったく原状に復帰していない責任を問われるのは政府の側です。
 物理的にそれが不可能というのであれば、その代替として他所で生活ができるための経済的保障を行うのが筋です。
 安倍政権が「避難の権利」について全く無知なのは本当に情けないことです。
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吉野復興相が問題発言 原発避難者に「自立したらどうか」
田中龍作ジャーナル 2017年12月22日
 吉野復興相が、住宅支援を打ち切られた原発事故からの自主避難者たちに面と向かって「事故から7年も経ったのだから、そろそろ自立したらどうかね」と問題発言をしていたことが、分かった。被災者を支援する行政のトップとして責任が問われることになる。

 吉野復興相の問題発言は12日、大臣室で自主避難者らと面会している時に飛び出した。
 きょうの定例記者会見で田中は吉野復興相本人に事実関係を確認した。
 復興相は「皆さん(避難者)とは偶然にお会いしたので、正式に大臣室で会った訳ではない。コメントは控えたい」とかわした。
 アポなしで大臣室に行けるのだろうか?「偶然にお会いした」とは珍妙な言い訳だ。
 吉野大臣は実際、もっと酷い発言をしていたのだが、田中はそれを暗に仄めかす程度に留めておいた。
 「否定されるようでしたら(全部話しましょうか)・・・」と畳みかけると、復興相は「否定はしません」と認めた。

 自主避難者は行政による避難指定区域外からの避難者だが、かつて住んでいた地域は土壌の放射線量がまだ放射線管理区域並みにあり、子どもの健康などを考えると、帰還できない。
 帰還しても生活基盤は破壊されている。帰ろうにも帰れないのである。さりとて移住先で満足な収入を得るのは極めて困難だ。
 国と福島県は自主避難者への住宅支援を今年3月末で打ち切ったのである。激減緩和措置として2017年度は月額3万円、2018年度は2万円が支給される。だが2019年4月からはゼロ円となる。
 自主避難者の数は2万6,601人(福島県避難者支援課まとめ=昨年10月末現在)。これだけの数の人々が生活苦と明日をも知れぬ不安を抱えて暮らす。中には追い出しの訴訟をかけられている世帯もある。

 山形に自主避難している男性(60代)は「私たちはどこに住めばよいのか?」と途方に暮れていた。
 吉野大臣の発言は、復興支援行政の最高責任者として現実認識を欠く。原発事故は東電と国の責任である。それを避難者の自己責任に転嫁するのは、行政の責任放棄である。
〜終わり~