2012年6月に超党派の議員立法で制定された「原発事故子ども・被災者支援法」は、復興庁が1年2カ月以上もかけて、その具体的な施策を定めた「基本方針案」をまとめましたが、支援法は見事に骨抜きにされました。そして官僚や与党議員によって手厚く擁護された東電は、個別の賠償交渉では常に裁定者のように振る舞ってきました。
来年の3月で住宅手当を含めて殆どすべての賠償が終了するに当たり、河北新報が東電福島復興本社・大倉誠代表にインタビューしました。
賠償で何の誠意も感じられなかった東電に「賠償以外で役立てること考えていく」といわれても・・・というところです。
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<原発事故>賠償以外で役立てること考えていく
東電福島復興本社・大倉誠代表に聞く
河北新報 2017年12月20日
東京電力福島復興本社の大倉誠代表(59)は19日までに、河北新報社のインタビューに応じた。被災者らに対する東電の賠償が来春までに一定の区切りを迎えることなどについて「個別の事情を丁寧に伺いながら賠償以外で役立てることをしっかり考えていきたい」と語った。(聞き手は福島総局・阿部真紀)
-賠償終了後、どのような形で被災者の生活再建を支援していくか。
「中間指針(賠償に関する国の基準)を踏まえ、知恵を絞ってできることを一生懸命やってきたつもりだ。ただ、賠償は必ずしも皆さんがこれで良かったと言えるものとは限らない。一人一人の生活の様子を伺いながら、事故を起こした当事者として責任を果たしていく」
-避難指示区域外での風評被害に伴う農林業賠償は現在、減収分を1カ月ごとに穴埋めしている。来年1月以降は3カ月単位に変更する案を生産者に示している。
「当初は秋口までに(決めたい)と思ったが、成案に至っていない。今まさに、さまざまな提案をしている。できるだけ年内に議論がまとまるよう全力を尽くす」
「賠償だけでなく風評払拭(ふっしょく)にも取り組んでいる。今月17日には都内の高級量販店で福島県産米の試食販売会を企画し、2キロ入り100袋を完売できた。販路回復に向けた活動を陰ながら支えたい」
-汚染水の浄化後も残る放射性物質「トリチウム」を含む処理水について、原子力規制委員会は海洋放出以外に選択肢はないとして「東電が漁業者らに真剣に説明するべきだ」と指摘している。
「なかなか結論を出せず申し訳ないが、具体的な提案をできる段階にきていない。廃炉を進める主体者として科学的な観点だけでなく、皆さんに安心してもらえるような解決策を見いだしたい」