福島第1原発で増え続ける放射性トリチウムを含む処理水の処分について、原子力規制委員会の更田豊志委員長は14日、飯舘村の菅野典雄村長との会談で「希釈して海洋放出する以外の選択肢はない。風評被害を恐れる人への理解や同意を得られるよう、声を上げたい」と述べました。
トリチウムを除去乃至分解する方法はなくはないのですが、トリチウム含有水の総量は既に100万トンにも達している(今後も日量数百トンずつ増え続ける)のでその処理費用は数十兆円になります。
したがって「希釈して海洋投棄(国際的に許されることなのかをまず確認すべき)する以外の選択肢はない」というのが国の本音で、まさに国策事業がもたらした負の到達点です。
もしも放出が可能であれば、国はここに至った責任を明らかにしたうえで、漁業関係者をはじめ関係方面への賠償の具体策を詰めるべきでしょう。
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「海洋放出以外の選択肢はない」 第1原発・処理水の処分方法
福島民友 2017年12月15日
原子力規制委員会の更田(ふけた)豊志委員長は14日、東京電力福島第1原発で避難指示が出された市町村を訪れ、首長と意見交換する取り組みを始めた。飯舘村の菅野典雄村長との会談では、第1原発で増え続ける放射性トリチウムを含む処理水の処分について「希釈して海洋放出する以外の選択肢はない。風評被害を恐れる人への理解や同意を得られるよう、声を上げたい」と述べた。
更田氏は10月の福島民友新聞社のインタビューでも「希釈して海洋放出するのが現実的で唯一の選択肢」と発言。地元合意を前提としているが、風評被害を懸念する漁業者の反対は根強く、実現へのハードルは高いのが現状だ。処分方法を巡っては、経済産業省の小委員会が社会的影響を含めた方策を探っている。
会談ではこのほか、菅野村長が廃炉工程について「素人レベルには分かりづらい。現場で頑張っている作業員の生の声が聞きたい」と要望、更田氏は「正確に伝わるように試行錯誤していく」と約束した。
会談後、更田氏は食品に関する放射性物質検査の基準値が国際基準と比べて低い点に触れ、個人的な考えとことわった上で、風評への影響を念頭に置く必要はあるとしつつ「科学的に考えれば見直すべきだ」と語った。
会談は廃炉や復興について意見交換するのが目的で、9月の委員長就任後、初めて。前委員長の田中俊一氏(福島市出身)も同行している。同日は川俣町、伊達市も訪問。15日は南相馬、川内、葛尾、田村の4市村を訪れる。