毎日新聞が、原発から半径30キロ圏の立地自治体と周辺自治体の計155自治体の首長と議会を対象に9~11月に実施した調査で、再稼働の同意権や立ち入り調査権について、周辺自治体にも拡大する必要性に対する首長の回答は、必要56▽一部必要7▽必要ない24▽分からない1▽その他60▽無回答5でした(154自治体が回答)。
「必要」「一部必要」とした63自治体のうち60が周辺自治体で、10の立地自治体が「必要ない」と答え、周辺自治体との温度差が浮き彫りとなりました。
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原発周辺自治体
再稼働の同意権要求5割 立地自治体と差
毎日新聞2017年12月29日
原発から半径30キロ圏で立地自治体以外の周辺119自治体のうち、半数の60自治体が再稼働に対する同意権を求めていることが、毎日新聞のアンケートで分かった。電力各社は東京電力福島第1原発事故後、立地自治体の同意を得て原発の再稼働を進めているが、同事故で広範囲に被害が及ぶリスクが示されたことを受け、再稼働への関与を望む声が周辺自治体の間で強まっている。
調査は、廃炉作業中の福島第1原発を含めた17の商用原発が立地する34自治体(13道県、21市町村)と、避難計画などが求められる30キロ圏内の121自治体(8府県、113市町村)の計155自治体の首長と議会を対象に9~11月に実施。首長には再稼働の是非や自治体の関与のあり方、電力会社との安全協定の締結状況などを尋ねた。議会には再稼働に関する意見書の採択について聞いた。首長は福島県飯舘村、福井県池田町を除く153自治体、議会は飯舘村を除く154自治体から回答を得た。
現在は主に立地自治体に事実上認められている再稼働の同意権や立ち入り調査権について、周辺自治体にも拡大する必要性に対する首長の回答は、必要56▽一部必要7▽必要ない24▽分からない1▽その他60▽無回答5--となった。「必要」「一部必要」とした63自治体のうち60が周辺自治体。これら60自治体のうち、16自治体が再稼働に反対する考えを示した。
一方、福井県など10の立地自治体が「必要ない」と答え、周辺自治体との温度差が浮き彫りとなった。ただし、立地自治体の中でも、福島第1原発事故に見舞われた福島県大熊町が「ひとたび事故が起これば影響は広範囲に及ぶ」として、周辺自治体の同意権を「必要」と答えたほか、日本原子力発電東海第2原発を抱える茨城県東海村も「一部必要」と回答した。
議会では、12の周辺自治体が再稼働の際に立地自治体並みの権限を求める意見書を採択していた。このうち6自治体は再稼働反対や、慎重な対応を求める意見書も採択した。【鳥井真平、岡田英、高橋一隆】
【ことば】原発再稼働に対する自治体の権限
自治体が原発再稼働に関与する権限を定めた法律はない。ただ、電力各社は立地する道県や市町村と安全協定を結び、設備の新増設や改造、廃炉について事前了解を得るよう努めてきた。立地自治体の同意がないまま運転を再開した事例はなく、原発再稼働の事実上の要件となっている。