日本国内では原発の新増設が難しいため、日立は海外輸出を視野に新型原発の開発を加速させたい考えです。
日立は、米ゼネラル・エレクトリック(GE)と新型の小型原子炉:出力30万キロワット程度の「小型モジュール炉(SMR)」と呼ばれる次世代技術の商用化を、2030年代に目指すとしています。
SMRは、主要機器の大部分を工場で組み立てて運搬するため、従来に比べて原発の建設費の削減や工期の短縮が期待されますが、いわゆるスケールメリットがなくなる分、発電コストは上昇します。あちらを立てればこちらば立たずの関係にあるわけです。
将来的に日立はSMRの実用化で、低コストと安全性の両立を実現したい意向のようなのですが。
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日立、GEと共同で小型原発 海外輸出視野 30年代に商用化目指す
SankeiBiz 2018年10月16日
日立製作所が、米ゼネラル・エレクトリック(GE)と新型の小型原子炉を採用した原子力発電所の開発に取り組むことが15日、分かった。
出力30万キロワット程度の「小型モジュール炉(SMR)」と呼ばれる次世代技術の商用化を2030年代に目指す。従来の原子炉に比べ低コストで安全性が高いとされ、主に海外への輸出を狙う。
日立とGEは長年、原発分野で協業し、互いの事業に出資し合っている。日本国内では原発の新増設が難しいため、日立は海外輸出を視野に新型原発の開発を加速させたい考えだ。
SMRは、主要機器の大部分を工場で組み立てて運搬するため、従来に比べて原発の建設費の削減や工期の短縮が期待される。
現在の大型原子炉の原発建設費は1兆円前後で、東京電力福島第1原発事故後の安全規制の強化に伴い、投資規模は拡大している。
安全面ではSMRを地下に設置し、放射性物質を封じ込める設計を想定。ただ出力は大型原子炉に比べ小さく、発電コストの低減が課題となる。天候に左右される太陽光などの再生可能エネルギーと組み合わせ、電力供給を安定させる役割も考えられている。
日立は福島第1原発と同じ沸騰水型軽水炉(BWR)を手掛けており、国内では福島原発事故後に再稼働した原発はない。英国での原発新設計画も事業費が膨らみ、投資リスクを慎重に精査している。将来的に日立はSMRの実用化で、低コストと安全性の両立を実現したい意向のようだ。