2018年10月4日木曜日

クレーントラブル 規制委トップ「手抜きにすら見える」と東芝からも事情聴取へ

 福島原発3号機の使用済み燃料プールから核燃料を取り出す機器では、トラブルが相次ぎプールからの燃料取り出しの工程が大幅に遅れています。
 そのトラブルは、クレーン設備の制御盤の設計上の印加電圧が現場の供給電圧よりも低かったために盤が焼け、またクレーン用ケーブルの端末処理が不十分で雨水が侵入して腐食したり、その他のケーブルも欠陥品が多数あるなどで、実にお粗末なものでした。
 原子力規制委員会の更田委員長は東電に対し「手抜きにすら見える」と厳しく批判するとともに、実際にそれを納入した東芝から直接事情を聴くことを決めました。
 
 東芝は東電から受注した分を、元子会社の米ウェスチングハウス・エレクトリックに発注し、制御盤等は米国で製作されました。
 FNNニュースと産経新聞の記事を紹介します。
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規制委トップ「手抜きにすら ・・・」トラブル続発の東電を批判
FNNニュース 2018年10月4日
福島第1原発3号機の使用済み燃料プールから、核燃料を取り出す機器にトラブルが相次いでいる問題で、原子力規制委員会の更田委員長は東京電力に対し「手抜きにすら見える」などと批判した
 
更田委員長は「これは、福島第1原発ならではの困難が立ちふさがって生じたものではない。極端な言い方をすれば、手抜きにすら見える」と述べた。
この問題は、3号機のプールから核燃料を取り出す設備で、配線の一部が切れているのが見つかるなどトラブルが相次ぎ、11月から始まる予定だった作業が年明け以降に遅れるとみられているもの。
 
規制委員会の更田委員長は、「廃炉作業の困難が立ちふさがったのではなく、手抜きにすら見える」と東京電力の対応を批判したうえで、不具合の責任の所在など、品質保証の体制について、規制委員会の検討会で確認するよう指示した。
 
 
福島原発3号機不具合、東芝から原因聴取へ 燃料取り出し遅れで規制委
産経新聞 2018年10月3日
 東京電力福島第1原発3号機の燃料貯蔵プールから燃料を取り出す設備にトラブルが相次いでいる問題で、原子力規制委員会は3日の定例会合で、原因究明を東電の報告だけに頼らず、設備を納入した東芝から直接事情を聴く方針を決めた。規制委が月に1回程度開いている廃炉作業の検討会に東芝の担当者の出席を求める。規制委によると、検討会にメーカーが呼ばれるのは初めて。
 
 東電は11月の取り出し開始を予定していたが、燃料を遠隔操作で取り出す設備の試運転を始めた今年3月以降、電圧設定のミスでクレーンが止まったり、雨水による腐食でケーブルが断線し、燃料取り扱い機が止まったりと不具合が続出。ケーブルに欠陥品が多数含まれていることも判明し、取り出しは年明け以降に延期された。
 
 装置は東芝と元子会社の米ウェスチングハウス・エレクトリックが開発。定例会合で更田豊志委員長は「手抜きにすら見える不具合だ」と厳しく指摘し、納入側を含めた原因究明を指示。その後の会見でも「廃炉の厳しい現場なのに、一般の原子力における調達のレベルにすら達していない」と苦言を呈した。