2018年10月16日火曜日

16- 南相馬市 甲状腺がん、白血病その他急増の詳細

 
 14日~15日は「原発をなくす湯沢の会」のフクシマツアーでした。
 今回は、つなみと放射能汚染の二重苦に見舞われた福島県の海岸地帯や稲作が困難な旧水田地帯などに、大々的に太陽光パネルが敷設されて、一帯が生き返りつつある様子を確認できました。
 これは優れた構想と抜群の交渉力(を持つリーダー)によって、国の役人などを説き伏せ、再生エネ発電を農業の再興・振興に結び付けることで補助金を給付させて実現に漕ぎつけたものでした。太陽光パネルの他に大々的な風力発電の構想も進められているということです。
 こうして復興に向けて着実に前進していることを実感する一方で、放射能汚染による深刻な健康被害もまた確実に進行していることが分かりました。
 
 10日に当ブログで南相馬市議大山弘一氏による南相馬市立総合病院における各疾病ごとの患者数が、東電福島原発事故以降に急増しているという情報を紹介しましたが、この度のツアーで南相馬市在住のKさんから、同市議が作成したより詳細な資料をいただくことができましたので、関係する部分について取り急ぎ紹介します。。
 
 先の記事では、南相馬市立総合病院における福島事故前(平成22年度=2010年4月1日~2011年3月31日)と事故後の平成29年度(17年4月1日~18年3月31日)の患者数を比較した表(⇒表1)を紹介しましたが、新しい資料にはH23年~H28年の各年度の患者数がすべて記されていました。(⇒表2)。
    (表1) 患者数(単位:人)
 
    
平成22
平成29
(倍率)
 
甲状腺がん(成人)
1
29
29
 
 
  
5
54
10.8
 
 
  
64
269
4.2
 
 
   
1
4
4
 
 
   
245
974
3.98
 
 
   
39
155
3.97
 
 
   
12
47
3.92
 
 
   
131
392
2.99
 
 
  
147
333
2.27
 
 
(表2) 患者数(単位:人)
疾病名
H22
H23
H24
H25
H26
H27
H28
H29
H2329累計
 
甲状腺がん
1
4
8
12
15
19
21
29
108
 
白血病
5
6
12
20
29
36
50
53
206
 
がん
64
68
79
106
134
189
227
269
1072
 
小児がん
1
1
1
1
1
1
2
4
11
 
肺炎
245
287
338
419
512
713
911
974
4154
 
心筋梗塞
39
42
50
65
80
109
147
155
648
 
肝臓がん
12
15
19
25
31
35
42
47
214
 
大腸がん
131
154
188
222
258
314
385
392
1913
 
がん
147
164
204
231
269
300
342
333
1843
 
脳卒中
665
761
892
1072
1301
1662
2052
2343
10083
 
 
(表3)外来患者数及び南相馬市居住人口の推移(単位:人)
 
H22
H23
H24
H25
H26
H27
H28
H29
 
患者数
82,954 
42,029 
66,865 
74,288 
74,980 
74,901 
76,154 
81,812 
 
人口
70,878 
66,542 
65,102 
64,144 
63,653 
57,797 
56,979 
55,404 
 
 
 表2中の「甲状腺がん」は成人の分です。また「白血病」はリンパ性・脊髄性・その他を合計した数です。
 表3は各年度の外来患者数及び南相馬市居住人口の推移です。患者数も人口も原発事故前のH22年度がその後のいずれの年度よりも高い値を示しています。患者数の増加に居住人口増加要素の関与は皆無です
 
 表2により、患者数の増加は現在も進行中で、引き続き増加傾向にあることが分かります(⇒単年度の特異値ではありません)。従って表1で算出された原発事故前に対する患者数の倍率=成人甲状腺がん29倍、白血病10倍、小児がん4倍・・・等々の数値は今度確実に増加します。
 また、H23年度~H29年度の累計患者数を朱記しました。「肺炎」、「大腸がん」、「胃がん」、「肺がん」は驚くほど膨大な数です。
 全ての疾病において患者数が大幅に増加していて大変深刻な事態です。
 
県民健康調査検討委は恥を知るべし
 医師らによる福島県民健康調査検討委員会は、被爆当時18歳以下の児童の甲状腺がんについては継続的に調査していて、既に210名余のがん患者が見つかっているにもかかわらず、「放射線に起因するものではない」と頑なに否定し、ひたすら「スクリーン効果」によるものと強調しています。
 そうだとすると、成人の「自発的な受診」によってこれだけの診断結果が出ていることについては、一体どう弁解する積りなのでしょうか。逃げ口上は見苦しいだけです。
 何回目かの検討会で、ある委員が「放射線の影響は同心円状に及ぶ」となどというあり得ないこと(実際には煙がたなびくように風向と風速により特異な形態で影響を及ぼす)を述べて傍聴者の(嘲笑と)怒りを買ったことがありました。そうしたケースはまあ個人的な問題として片付けられるにしても、委員会の公式見解として「放射能起因ではない」と述べるのはそれでは済まされません。恥を知るべきです。
 
PDF版を掲示します
 大山市議がまとめられた南相馬市立総合病院における疾病ごとの患者数の推移表と、大山市議の9月議会報告(見開き2頁)をPDF版で掲示しました。
 タイトルは「大山弘一市議資料」 1面が「患者数の推移表」、2面が「大山市議の9月議会報告」です。議会報告にも極めて興味深い内容が掲載されています。
 以下の通りPDF版の掲示を試みたのですが、なぜかブロックされて表示が出来ませんので、残念ですが取り消します。 
 
PDF版を掲示します
 大山市議がまとめられた南相馬市立総合病院における疾病ごとの患者数の推移表と、大山市議の9月議会報告(見開き2頁)をPDF版で掲示しました。
 タイトルは「大山弘一市議資料」 1面が「患者数の推移表」、2面が「大山市議の9月議会報告」です。議会報告にも極めて興味深い内容が掲載されています。
 
 PDF版をご覧になる場合は、下のタイトルをクリックするとまず画面の下側に選択肢:「ファイルを開く」・「保存」が表示されるので、「ファイルを開く」を選択すると表示されます。 
 Google Chrome の場合は左下にタイトル(「○○.pdf」)が表示されるので、それをクリックすると開きます。
 文字が小さい場合にはPDF画面右上の最大化マーク(□)をクリックするか、上段の中央付近にある倍率(%表示)を調整するか、または大きくする場合は( + )マーク、小さくする場合は( ー )マークをクリックして下さい。
 まず1面が表示されるので、そのまま画面を下にスクロールすると2面が表示されます。
 いずれもPDF画面を90度回転させて読む必要があるので、次のように操作してください。
 PDF画面にカーソルを当てて右クリックすると、小さな枠がプルダウンされます。
 次に、そこの「時計まわりに回転」または「右回転」をクリックすれば、紙面が90度右回転します。
    大山弘一市議資料  (1・2面)