14日~15日は「原発をなくす湯沢の会」のフクシマツアーでした。
今回は、つなみと放射能汚染の二重苦に見舞われた福島県の海岸地帯や稲作が困難な旧水田地帯などに、大々的に太陽光パネルが敷設されて、一帯が生き返りつつある様子を確認できました。
これは優れた構想と抜群の交渉力(を持つリーダー)によって、国の役人などを説き伏せ、再生エネ発電を農業の再興・振興に結び付けることで補助金を給付させて実現に漕ぎつけたものでした。太陽光パネルの他に大々的な風力発電の構想も進められているということです。
こうして復興に向けて着実に前進していることを実感する一方で、放射能汚染による深刻な健康被害もまた確実に進行していることが分かりました。
10日に当ブログで南相馬市議の大山弘一氏による南相馬市立総合病院における各疾病ごとの患者数が、東電福島原発事故以降に急増しているという情報を紹介しました※が、この度のツアーで南相馬市在住のKさんから、同市議が作成したより詳細な資料をいただくことができましたので、関係する部分について取り急ぎ紹介します。。
先の記事では、南相馬市立総合病院における福島事故前(平成22年度=2010年4月1日~2011年3月31日)と事故後の平成29年度(17年4月1日~18年3月31日)の患者数を比較した表(⇒表1)を紹介しましたが、新しい資料にはH23年~H28年の各年度の患者数がすべて記されていました。(⇒表2)。
(表1) 患者数(単位:人)
疾 病 名
|
平成22年
|
平成29年
|
(倍率)
| ||
甲状腺がん(成人)
|
1
|
29
|
29
|
倍
| |
白 血 病
|
5
|
54
|
10.8
|
倍
| |
肺 が ん
|
64
|
269
|
4.2
|
倍
| |
小 児 が ん
|
1
|
4
|
4
|
倍
| |
肺 炎
|
245
|
974
|
3.98
|
倍
| |
心 筋 梗 塞
|
39
|
155
|
3.97
|
倍
| |
肝 臓 が ん
|
12
|
47
|
3.92
|
倍
| |
大 腸 が ん
|
131
|
392
|
2.99
|
倍
| |
胃 が ん
|
147
|
333
|
2.27
|
倍
|
(表2) 患者数(単位:人)
疾病名
|
H22
|
H23
|
H24
|
H25
|
H26
|
H27
|
H28
|
H29
|
H23~29累計
| |
甲状腺がん
|
1
|
4
|
8
|
12
|
15
|
19
|
21
|
29
|
108
| |
白血病
|
5
|
6
|
12
|
20
|
29
|
36
|
50
|
53
|
206
| |
肺がん
|
64
|
68
|
79
|
106
|
134
|
189
|
227
|
269
|
1072
| |
小児がん
|
1
|
1
|
1
|
1
|
1
|
1
|
2
|
4
|
11
| |
肺炎
|
245
|
287
|
338
|
419
|
512
|
713
|
911
|
974
|
4154
| |
心筋梗塞
|
39
|
42
|
50
|
65
|
80
|
109
|
147
|
155
|
648
| |
肝臓がん
|
12
|
15
|
19
|
25
|
31
|
35
|
42
|
47
|
214
| |
大腸がん
|
131
|
154
|
188
|
222
|
258
|
314
|
385
|
392
|
1913
| |
胃がん
|
147
|
164
|
204
|
231
|
269
|
300
|
342
|
333
|
1843
| |
脳卒中
|
665
|
761
|
892
|
1072
|
1301
|
1662
|
2052
|
2343
|
10083
|
(表3)外来患者数及び南相馬市居住人口の推移(単位:人)
H22
|
H23
|
H24
|
H25
|
H26
|
H27
|
H28
|
H29
| ||
患者数
|
82,954
|
42,029
|
66,865
|
74,288
|
74,980
|
74,901
|
76,154
|
81,812
| |
人口
|
70,878
|
66,542
|
65,102
|
64,144
|
63,653
|
57,797
|
56,979
|
55,404
|
表2中の「甲状腺がん」は成人の分です。また「白血病」はリンパ性・脊髄性・その他を合計した数です。
表3は各年度の外来患者数及び南相馬市居住人口の推移です。患者数も人口も原発事故前のH22年度がその後のいずれの年度よりも高い値を示しています。患者数の増加に居住人口増加要素の関与は皆無です。
表2により、患者数の増加は現在も進行中で、引き続き増加傾向にあることが分かります(⇒単年度の特異値ではありません)。従って表1で算出された原発事故前に対する患者数の倍率=成人甲状腺がん29倍、白血病10倍、小児がん4倍・・・等々の数値は今度確実に増加します。
また、H23年度~H29年度の累計患者数を朱記しました。「肺炎」、「大腸がん」、「胃がん」、「肺がん」は驚くほど膨大な数です。
全ての疾病において患者数が大幅に増加していて大変深刻な事態です。
県民健康調査検討委は恥を知るべし
医師らによる福島県民健康調査検討委員会は、被爆当時18歳以下の児童の甲状腺がんについては継続的に調査していて、既に210名余のがん患者が見つかっているにもかかわらず、「放射線に起因するものではない」と頑なに否定し、ひたすら「スクリーン効果」によるものと強調しています。
そうだとすると、成人の「自発的な受診」によってこれだけの診断結果が出ていることについては、一体どう弁解する積りなのでしょうか。逃げ口上は見苦しいだけです。
何回目かの検討会で、ある委員が「放射線の影響は同心円状に及ぶ」となどというあり得ないこと(実際には煙がたなびくように風向と風速により特異な形態で影響を及ぼす)を述べて傍聴者の(嘲笑と)怒りを買ったことがありました。そうしたケースはまあ個人的な問題として片付けられるにしても、委員会の公式見解として「放射能起因ではない」と述べるのはそれでは済まされません。恥を知るべきです。
PDF版を掲示します
大山市議がまとめられた南相馬市立総合病院における疾病ごとの患者数の推移表と、大山市議の9月議会報告(見開き2頁)をPDF版で掲示しました。
タイトルは「大山弘一市議資料」 1面が「患者数の推移表」、2面が「大山市議の9月議会報告」です。議会報告にも極めて興味深い内容が掲載されています。
以下の通りPDF版の掲示を試みたのですが、なぜかブロックされて表示が出来ませんので、残念ですが取り消します。
PDF版を掲示します
大山市議がまとめられた南相馬市立総合病院における疾病ごとの患者数の推移表と、大山市議の9月議会報告(見開き2頁)をPDF版で掲示しました。
タイトルは「大山弘一市議資料」 1面が「患者数の推移表」、2面が「大山市議の9月議会報告」です。議会報告にも極めて興味深い内容が掲載されています。
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大山弘一市議資料 (1・2面)