2018年10月24日水曜日

原発こそ停止せよ 九電の再生エネ出力制御に九州の共産党が要請

 九電は、総発電量過剰を理由に、太陽光発電の一部事業者一時的に発電を停止させる出力制御を1314の土日(出力制御量50万KW)に続き、翌週の土日(2021)(出力制御量93万KW)にも行いました
 毎土出力制御が繰り返されるようになれば、再生可能エネルギー拡大のブレーキになり、再エネを主力電源化すると明記した国のエネルギー基本計画とも矛盾します。
 各種の世論調査では脱原発を求める声が多数を占めるなかで、再エネを事実上抑制し、原発再稼働だけめるというのは再エネを拡大して発電コストを低減させようとする世界の趨勢にも逆行します
 
 先の北海道でのブラックアウトの際に、本州~北海道間の連絡ケーブルの送電容量が決定的に不足していることが明らかにされました。九州~本州間でも、余剰な電力を本州など他の電力会社に送電する「連系線」のキャパシティがやはり不十分なのですが、そのシステムの拡充はまだ本格化していないということです。
 こうしたことを改善せずに、太陽光発電を出力制御するというような最も安易で不合理な方法に頼っていては、いつまで経っても発電コストは低減せず、九州での電力事情も安定しません。
 
 22日、九州の共産党組織が福岡市の九州電力本店と九州経産局を訪れ、原発こそを停止させ、再生可能エネルギーに転換するよう申し入れました
 関連するしんぶん赤旗の「主張」も併せて紹介します。
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原発こそ停止せよ 九電の出力制御 九州の共産党要請
しんぶん赤旗 2018年10月23日
 九州電力が太陽光発電の事業者に発電の一時停止を求める「出力制御」を4回にわたり繰り返している問題で22日、九州7県の日本共産党の代表と仁比そうへい参院議員、田村貴昭衆院議員らが福岡市の九州電力本店と九州経産局を訪れ、原発こそ停止し、再生可能エネルギーに転換するよう申し入れました。
 
 申し入れでは、電力供給量が需要を大きく上回っているとして「出力制御」を実施しながら、稼働している原発4基は「出力制御」の対象外としていることを指摘。原発を動かし太陽光発電を停止する考え方は再生エネルギー普及や安全安心を求める国民の願いにそむくと訴えました。
 
 九電に対し、仁比氏は「九州の自然エネルギーの潜在力を引き出す経営をすべき」と迫り、田村氏は「再生可能エネルギー主力化を目指すと言いながら逆行している」と批判。「再生可能エネルギーだけでは脱炭素社会はできない」と言い逃れる担当者に真島省三前衆院議員は「定期点検で止まる原発の代替として火力発電をセットで増やしてきた」と指摘しました。
 
 かわの祥子参院福岡選挙区予定候補、大森ひとし参院佐賀選挙区予定候補、たかせ菜穂子、山口りつ子両福岡県議、むとう明美、井上ゆうすけ両佐賀県議、安江綾子長崎県北部地区副委員長、山本のぶひろ熊本県議、えんど久子大分県議予定候補、前屋敷えみ宮崎県議、まつざき真琴鹿児島県議らが参加しました。
 
 
主張) 太陽光発電の制御 再エネ普及妨げる原発再稼働
しんぶん赤旗 2018年10月22日
 九州電力が太陽光発電を行っている一部の事業者を対象に発電を一時停止させる「出力制御」を実施したことに、「再生可能エネルギー普及のブレーキになる」との懸念と批判が広がっています。出力制御は、電力需要が減って、供給が増えて需給バランスが崩れると大規模停電を起こすおそれがあり、それを回避するための措置だと九電は主張します。しかし、原発4基を動かし続ける一方で、太陽光使用を抑えるやり方は再生エネを広げることを願う国民から見ると納得できません。
 
好条件が生かされず
 九電による太陽光発電の出力制御は13、14両日に実施されたのに続き、20、21両日にも行われました。離島以外での再生エネの大規模な出力制御は全国で初めてです。今後も電力の需要が少なくなる秋や春の土日、休日に繰り返されるおそれがあります。
 
 日照条件に恵まれた九州では太陽光発電の導入が進み、8月末時点で約800万キロワット、設備能力では原発約8基分に匹敵する規模です。九州の日中の消費電力の大半を太陽光でまかなえる日もでています。
 環境面でも経済面でも優れている太陽光などを生かし切るという点で、今回の出力制御は逆方向です。電力が余るからといって太陽光などが「調整弁」にされることは、発電事業者には打撃です。「安心して進められない」などの不満が上がっているように、再生エネ推進に水をさす事態です。
 
 太陽光発電の広がりにともなう出力制御について、九電は4年前から想定していましたが、再生エネを可能な限り生かす努力を怠っていました。例えば、余剰電力を生かすために、本州など他の電力会社に送電する「連系線」のシステムの拡充は本格化していません。電力の大消費地、近畿地方を含む西日本規模で連携する方向などは具体化できなかったのか。出力制御の回避策を十分とっていたとはいえません。
 
 その一方で、九電が熱心だったのは原発再稼働です。川内原発1、2号機(鹿児島県)に続き、今年3月に佐賀県の玄海原発3号機、6月に同4号機の再稼働を強行しました。電力が余ることが分かっていながら2基で200万キロワット分以上供給を増大させたことになります。原発だけで日中の電力需要の半分以上に相当します。原発再稼働を最優先させ、再生エネを押しのける九電の姿勢が問われます。
 
 原発を優先させる国がつくった出力制御のルール自体問題です。原発は出力調整が難しいことなどを理由にしていますが、それこそ原発が「融通」のきかない電力であることを示すものです。今後、全国的に太陽光発電などが普及すれば、他の電力会社でも出力制御を行う事態に直面しかねません。原発に依存せず再生エネをフル活用できる供給の仕組みへ見直しが急がれます。
 
主力電源化というなら
 原発再稼働が、再生エネ普及の妨げにしかならないことはいよいよ明白です。安倍晋三政権は今夏に閣議決定した「エネルギー基本計画」で、再生エネの「主力電源化」を初めて盛り込みましたが、原発推進とは全く両立しません
 日本のエネルギー政策の基本を転換して、再生エネ優先、原発ゼロへの道こそ求められます。