2018年10月4日木曜日

04- 東電・強制起訴 旧保安院 審査担当者が被告に有利な証言

 東電元経営陣・強制起訴3日開かれた第29回公判に、旧原子力保安院で安全審査を担当した職員が出廷し、審査で巨大津波対策を盛り込まなかった点について「直ちに取り入れるべきだとは考えていなかった」と被告側に有利な証言をしました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
東電公判:保安院安全審査担当者が被告に有利な証言
毎日新聞 2018年10月03日
 東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣3人の第29回公判が3日、東京地裁(永渕健一裁判長)であった。原子力安全・保安院(現・原子力規制庁)で第1原発の安全審査を担当した職員が出廷。東電が東日本大震災前の審査で巨大津波対策を盛り込まなかった点について「直ちに取り入れるべきだとは考えていなかった」と理解を示し、被告側に有利な証言をした。
 
 政府の地震調査研究推進本部は2002年、「福島沖を含む日本海溝沿いで巨大津波が発生しうる」とした「長期評価」を公表。東電はこれに基づき、想定津波を「最大15・7メートル」と試算したが、3被告側は「長期評価は信頼性に疑問がある」などとして対策を「先送り」したとされる。
 
 3日の公判で出廷した職員は、保安院が東電に回答を求めた地震・津波対策再評価(バックチェック)の審査過程だった08年になって長期評価を「初めて知った」と説明。その上で「根拠となる論文がなく、最新の科学的・技術的知見とは考えなかった」と述べた。
 
 また「15・7メートルの想定津波」について、東電から報告を受けたのは震災直前の11年3月7日だったと回顧。東電が試算をまとめてから約3年も後だったことが明らかになった。
 
 証人尋問はこの日で終わり、次回16日の公判では津波対策の「先送り」を部下に指示したとされる武藤栄元副社長(68)への被告人質問が行われる。【蒔田備憲、服部陽】