2018年10月17日水曜日

再生エネ抑制 「脱原発」ではなかったのか と

 九州電力は、発電量が過大になったとして、ブラックアウト(大規模停電)を回避するために、再生可能エネルギー事業者に対し、太陽光発電の出力制御を実施しました。
 これについて西日本新聞は、「再生エネ抑制 脱原発ではなかったか」とする社説を掲げ、次のように主張しました。
 
 太陽光発電の出力制御は結果的に「再生エネ拡大と原発への依存度低減は、福島第1原発事故後の国是」に反するものである。
 日照条件が良い九州では再生エネ事業が急成長し、太陽光発電能力は7月末時点で約800万キロワットで、再生エネ比は20%とほぼ欧米レベルに達した。
 したがってエアコンなどの利用が減る秋や春の好天日に電力が余る事態は予想されていたことで、過剰になればまず太陽光発電を止めるという単純な手法で対応するということでは拙く、「原発依存を脱し、再生エネを存分に活用した電源構成のベストミックス案を再構築するためにも、再生エネ先進地の九州でその道筋を付けなくてはならない」のであって、間違っても太陽光発電を出力制御するのを常道としてはならない。
 
 まさに正論です。
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社説再生エネ抑制 「脱原発」ではなかったか
 西日本新聞 2018年10月17日
 九州電力が再生可能エネルギー事業者に対し、太陽光発電の出力制御を実施した。
 2012年に始まった再生エネの固定価格買い取り制度(FIT)に併せて導入されたルールに基づく措置で、離島を除けば全国で初となった。
 事業者の収益を圧迫する出力制御が頻発すれば、再エネ推進の機運に水を差すことにもなりかねない。国と電力会社は可能な限り回避すべきだ。
 
 電力は使用量と発電量のバランスが崩れると、最悪の場合は大規模停電(ブラックアウト)に陥る恐れがある。発電量が使用量を大きく上回る場合、国のルールでは火力発電の出力を抑え、余った電気で水をくみ上げてエネルギーを蓄える揚水式発電を活用する。さらに連系線を使って他地域に送電し、続いて再生エネの出力を抑制する。原発の出力調整は、技術的に難しいため最後の手段となる。
 
 日照条件が良い九州では再生エネ事業が急成長し、太陽光による発電能力は7月末時点で約800万キロワットに達した。既に九州内の原発の総出力を上回っている。エアコンなどの利用が減る秋や春の好天日に電力が余る事態は予想されていたことだ。
 
 九州では現在4基の原発が稼働している。定期検査の期間が電力需要の減る時期と極力重なるよう運転計画を見直すなど、原発の発電量をある程度抑制することも可能ではないか。
 過剰に供給された電気をためる蓄電池の性能向上や普及も喫緊の課題だ。大手電力会社の間で電力を融通する連系線を強化し、再生エネの電力を日本全体で共有する施策も求められる。
 
 9月の北海道の地震で起きた国内初のブラックアウトは、暮らしと産業に大打撃を与えた。再発防止に万策を講じることは当然である。だが、再生エネ拡大と原発への依存度低減は、福島第1原発事故後の国是であることを忘れてはならない。
 再生エネの主力である太陽光発電の普及は立地環境に大きく左右される。国は30年度の電源構成に占める再生エネの比率を22~24%としているが、九州は既に約20%と欧州レベルに達している。今後は中国地方や四国でも増加が予想される。
 政府は7月に閣議決定したエネルギー基本計画で、再生エネを主力電源にする方針を示したが、一方で原発の発電割合も20~22%に据え置いた。
 
 原発依存を脱し、再生エネを存分に活用した電源構成のベストミックス案を再構築するためにも、再生エネ先進地の九州で道筋を付けたい。出力制御は、エネルギー政策転換の過渡期における、やむを得ない緊急措置と肝に銘じるべきだ。