2018年10月18日木曜日

18- オイルダンパー データ改ざん品 原発納入の可能性も

 油圧機器メーカーKYB社製で、製品検査時にデータ改ざんされたものと同型の免震・制振装置(オイルダンパー)が、日本原電敦賀原発の「免震棟」及び中部電力浜岡原発、四国電力伊方原発で使用されていることが分かりました。
 納入あるいは取付済みの同部品が、データ改ざん品なのかどうかを現在確認中ということです。
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KYB改ざん 原発や観光施設も
 毎日新聞 2018年10月17日
 油圧機器メーカーKYB(東京都港区)とその子会社による免震・制振装置(オイルダンパー)のデータ改ざん問題を受け、両社のダンパーを使った施設を抱える役所や企業は17日、慌ただしく確認作業に追われた。より高い安全性が求められる原子力発電所の関連施設や外国人などでにぎわう観光施設も含まれ、関係者には動揺が広がった。
 
 東日本大震災で長周期地震動を観測し、2棟ある本庁舎について2014年度から制振対策を進めている東京都。問題となっている製品と同型の制振ダンパー298本を20年度までに取り付ける計画で、これまでに214本を取り付けた。都は問題のあるダンパーかどうか確認を急いでいるが、同日夕までにメーカーからは連絡がないという。担当者は「交換になれば業務に大きな支障が出るのは間違いない」と戸惑いを見せた。
 
 影響は原発の関連施設にも及んだ。日本原子力発電敦賀原発(福井県敦賀市)は、事故が起きた際の対応拠点となる「免震棟」に同型の免震ダンパーを使用する。同社は「不正が行われた装置なのかどうかを確認した上で、対応を検討したい」とする。中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)や四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)でも使用されている可能性があるが、いずれも原子炉のある建屋ではないという。
 
 インバウンドの活気に沸く各地の観光施設でも、問題の装置が使われている疑いが浮上している。通天閣(大阪市浪速区)は14年10月~15年6月に行った改修工事の際に、同型の免震装置を取り付けた。運営会社「通天閣観光」の高井隆光副社長(43)は「休業する予定はないが、早く情報がほしい」と話した。東京スカイツリー(東京都墨田区)や大分県立美術館(大分市)でも、問題の装置が使われている可能性があるという。
 
 20年の東京オリンピックに向けた会場整備への影響も懸念されている。水泳競技が行われる「オリンピックアクアティクスセンター」(東京都江東区)とバレーボールなどに使われる「有明アリーナ」(同)に同型のダンパーが使われているためだ。交換が必要になった場合は工期が延びる可能性があるが、東京都は「大会には間に合わせる」としている。【まとめ・大久保昂】