伊方原発再稼働へ、東海第二も「適合」を決定
小宮山洋子 BLOGOS 2018年10月4日
東京電力東海第一原発の事故の反省もないままに、次々と原発の再稼働が決定されることに、強い危惧をもちます。9月25日には、四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転を差し止めた広島高裁の仮処分決定について、広島高裁が、四国電力の保全異議を認め、決定を取り消しました。
差し止めの法的拘束力がなくなったことを受け、四国電力は、10月27日に3号機の運転を再開する、と発表しました。昨年の決定は、阿蘇山(熊本県)が約9万年前と同様の破局的噴火を起こすリスクを理由に運転を差し止めました。
今回の決定は、1万年に1回程度とされる大噴火のリスクへの対策を求めるには「相当の根拠が必要」と指摘し、従来の国の方針に沿う判断となりました。
住民は、再稼働推進を掲げる安倍政権を意識したような結論だとして憤り、火山学者の鹿児島大の井村准教授は、「噴火予測ができないこと、安全かどうかを科学的に判断できないことなど、多くの火山学者が指摘してきた火山ガイドの不備は認めた。それでも、社会通念で容認するというのは、科学ではなく社会的な判断だ」と話している、と報じられています。
東日本大震災に伴う、福島での原発事故の時には、「想定外」と何度も言われ、原発安全神話は崩壊し、予測できないことが起きることを身を持って体験したではありませんか。それを科学的根拠もなく、社会通念で、また同じ過ちを繰り返そうというのでしょうか。
また、首都圏で唯一の原発である、日本原子力発電東海第二原発(茨城県東海村)について、原子力規制委員会は、26日、安全対策が新規制基準に適合する、と認める審査書を正式決定しました。2011年3月の東日本大震災で地震や津波の被害を受けた原発では、初めてです。
東海第二原発は、11月で運転期限の40年を迎え、原電は再稼働と最長20年の運転延長を目指している、ということです。40年を超える原発は、原則として再稼働しない、と民主党政権の時に決めたのに、これも反故にされています。
主要部分の審査は終えましたが、再稼働するには、運転開始40年を迎える11月27日までに防潮堤などの安全対策の詳しい設計を記した工事計画と、原則40年の運転期間を1回だけ20年間延長する、二つの許可を得なければなりません。
期限に間に合わないと自動的に廃炉を迫られる、ということで、再稼働は、見通せないとも言われています。また、再稼働には、県と東海村だけでなく、周辺の5市の同意も必要です。これは、東海第二原発の再稼働などを巡っては、今年3月に、原電が東海村に加えて、周辺5市からも「事前了解を得る」とする新しい安全協定を結んだからです。
また、8月には、6市村の外側に位置する笠間市、茨城町など30キロ圏内の8市町と原電の間で、別の新しい協定を結ぶことで合意しているそうです。30キロ圏内の自治体にも同意するかどうかの権利を認めることは、前進だと思います。
電力会社の幹部の中にも、「原発に多額の投資をする時代ではない。電力の広域融通など、業界再編に向けた議論も必要だろう」と将来を見越した意見もある、と伝えられています。まだ、原発事故によって避難している人たちも多くいる中で、将来のエネルギー政策を、私たちも考えていく必要があると思います。